●2018年10月第4週のまとめ
・週間指数動向
来週は、米国主要企業決算が最終局面。米中間選挙を控えて引き続き通貨戦争、通商問題、ミクロ(企業業績)への懸念からボラティリティー拡大による波乱継続が警戒されるなか、企業決算通過(fact)でいったん下げ一巡となるのか、直近の傾向継続で調整深化が警戒される展開となるのか注目。
・週間為替動向
今週の主要通貨は、引き続き新興国通貨安は小康状態を維持。USD高、USDX高気味の一週間に。週を通すとJPY高>USD>CNH>AUD>EUR安。JPYはストレート円では円高、クロス円でも円高の「円高」で東京指数には重荷の展開。引き続き新興国通貨安の再燃とCNHへの波及、「三極リスク」が警戒されるなか、新興国通貨安(≒USD高)によるリスク資産軟化加速に警戒しておきたいところ。
・週間債券動向
今週の債券市場は、先般の米債利回り上昇懸念を契機とした低ボラティリティー相場のアンワインドから「三極リスク」による「リスクオフの債券買い」に転換する展開に。米債利回りは10年が3.1%処で推移。イールド・カーブは30y-5yのスティープ化が目立つ展開に。
この間の債券ボラティリティー「TYVIX」は前回の金利上昇局面(債券売り)とは逆に金利低下方向(債券買い)で上昇に転じて前回の高値を更新。引き続き債券ボラティリティーの上昇には警戒しておきたいところ。
欧州国債は、先週はイタリア財政赤字問題に対する懸念による「リスクオフ」から「ドイツ国債買い+イタリア国債売り」に傾いてスプレッドが拡大。先週金曜日NY引け後に大手格付け会社の一角ムーディーズがイタリアの信用格付けを従来の「Baa2」から1段階引き下げて、投資適格級で最も低い「Baa3、安定的」と発表したことから波乱が警戒されたものの、今週は「リスク資産発」の「リスクオフ」から「ドイツ国債買い+イタリア国債様子見」で全般債券買いの展開に。なお、金曜NY引け後には、S&Pがイタリア国債格付け見通しを「BBBに据え置きで見通しをネガティブに引き下げ」と発表。見通しは「ネガティブ」も「BBB」は投資適格級最下位から1段上で事前の予想ほど大幅ではなかったものの、これが来週にかけての波乱の火種とならないか警戒しておきたいところ。
期待インフレ率(BEI:10-Year Breakeven Inflation Rate)は原油価格上昇一服と、「三極リスク」によるリスクオフを受けて反転模様の展開。5年先5年物予想インフレ率(5y-5y Forward Inflation Expectation Rate)も期待インフレ率と同様の展開に。
原油価格の押し上げ効果以外にインフレ期待がなかなか盛り上がらない構図が変わらないなか、政治要因、金融政策に振られる展開に。これに対して「ビハインド・ザ・カーブ」を嫌うFEDの金融政策と実体経済の綱引きの構図も変わらず。
10/26現在のFEDによる12月利上げの市場織り込みは、直近の波乱を受けて前週の78.0%から67.2%に低下も4回/年の利上げを織り込みつつある状況を維持。他方で、直近のリスク資産急落による逆資産効果が警戒されるなか、12月の利上げが経済拡大の重荷とならないのか注目しておきたいところ。
これらの状況を背景に、10年、30年債ともに数年来の高値水準での揉みあいを見せるなか、「金利低下(上昇)+リスク資産売り(買い)」の「伝統的反応」で推移するのか、どこかの時点で金利上昇にリスク資産が耐えられなくなって「債券安+株安」に転じていくのか、リセッション懸念から金利低下に転じるのか、「低金利+リスク資産買い」の「ミニ・ゴルディロックス」に転じて堅調に推移するのか引き続き注目しておきたいところ。
・コモディティー他
オイル(原油)は、ドル高、「貿易戦争」による将来の需要減に対する懸念、米大統領による「値下げ要求」、サウジアラビアが増産に前向きな姿勢を示したことから引き続き売り物がちの展開に。原油低下による金利の押し下げ効果と、中央銀行による金融政策の変更、政治要因による金利上昇バイアスとの綱引きがどのように推移していくのか引き続き注目していきたいところ。
「炭鉱のカナリア」ハイイールド債はリスク資産に歩調を合わせて大幅に下落する展開に。引き続きリスク資産、債券、為替、コモディティー市場の動向とあわせて、「突然死」しないか今後の展開に注目しておきたいところ。
先々週急騰劇を演じた金は引き続き伸び悩みの展開に。金価格上昇がドル安への胎動なのか、リスクオフ警戒の安全資産買いなのか要経過観察。
・その他
サプライズ・インデックスは、引き続き強弱の節目「0(ゼロ)」付近で一進一退の展開に。通商問題の悪化、ドル高、金利上昇による企業業績圧迫に懸念が残るなか、経済指標の悪化傾向がSPXの許容PER低下を引き起こさないか、また直近のミクロ(企業業績)の悪化がマクロに波及して同指標の悪化をもたらさないか注視していきたいところ。引き続きアセット間、あるは同アセット内での循環物色のなかでの資金循環が維持が止まり、流動性低下状態に陥らないかに注目しておきたいところ。

市場センチメントは、通商問題悪化、新興国通貨安に対する懸念、リスク資産急落とボラティリティー高止まりで引き続き悪化状態。11月米中間選挙を睨んだ思惑が交錯するなか、このまま薄商い+低値幅+低ボラの「ゴルディロックス」相場への決別となるのか、政治要因、あるいは通商問題の改善から改めて年末高に向かうためへの基礎を形成していくのか注目しておきたいところ。
●来週の主な予定と決算発表
29日(月)
米PCE(個人消費支出)デフレータ
米個人支出・所得
30日(火)
日本完全失業率・求人倍率
独失業率
独消費者物価指数
ユーロ圏GDP
決算:フェイスブック、ファイザー、マスターカード、コカ・コーラ
31日(水)
日銀金融政策決定会合結果発表★
黒田日銀総裁会見
豪消費者物価指数
中国製造業PMI★
ユーロ圏失業率
ユーロ圏消費者物価指数
米ADP雇用者数
米シカゴ購買部協会景気指数★
1日(木)
豪貿易収支
中国財新PMI★
英中銀政策金利・四半期インフレ報告★
カーニー英中銀総裁記者会見
米建設支出
米ISM製造業景気指数★
決算:アップル★、ダウ・デュポン、スターバックス
2日(金)
豪小売売上高
独製造業PMI★
ユーロ圏製造業PMI
米雇用統計★
米貿易収支
決算:エクソンモービル、シェブロン