【2018年8月第3週のまとめと来週の主な予定】
●2018年8月第3週のまとめ
・週間指数動向
今週は、引き続き米中通商問題、ドル高傾向による新興国通貨安懸念が重荷となって高安まちまちの展開に。主要市場は前々週に大幅安、前週に大幅高となった中華圏指数が再び大幅安で終了。東京は円建て日経、TPXは3週続落、ドル建て日経は小幅に反発。米国はDJIA、S&Pが6週ぶりの反落の後にすかさず反発、NASDAQは小幅に反落。先んじて史上最高値更新中のNASDAQに続いてS&P500が1月高値に接近する展開に。欧州は、FTSEは反落、DAXは3週続落。関税措置の対象国中華圏指数は、香港、上海ともに大幅反落。年間ベースでは引き続き米三指数のみがプラス圏を維持。総じて米国の「独り勝ち」が続く一週間に。

来週は、引き続き手掛かり材料難の夏枯れが警戒されるなか、米中通商交渉、ジャクソンホール会議を開催予定。通貨戦争への懸念から調整が継続が警戒される展開となるのか、「債券高+株高のミニ・ゴルディロックス様」または「債券安+株高」からいったんアンワインドに向かう展開となるのか注目。
・週間為替動向
今週もドル高→新興国通貨安が意識されるものの、主要通貨は意外と平穏に推移する展開に。週を通すとCNH高値≧EUR≧AUD>USD=JPYのUSD安、JPY安傾向で前週のアンワインドが若干進行。他新興国通貨安のCNHへの波及が警戒されるなか、中国人民銀行(PBOC)による流動性提供から引き続き波乱なく推移しているのは安心感を誘うところ。JPYはストレート円では動意薄、クロス円では円安で東京指数には過不足ない展開。引き続き新興国通貨安(≒USD高)によるリスク資産軟化に警戒しておきたいところ。

・週間債券動向
期待インフレ率(BEI:10-Year Breakeven Inflation Rate)は、「貿易戦争」による将来の需要減に対する懸念から上昇一服の原油価格、日欧中央銀行による緩和的政策継続、直近の新興国不安から若干低下気味に推移。
これを受けた米債利回りも10年2.9%を抵抗に2.8%台で上下に振れる方向感の無い展開に。この間、債券のボラティリティーを表す「TYVIX」は横ばい推移。また米大統領による金融政策への不満表明でいったんスティープ化方向に転じたイールド・カーブは、再びじりじりとフラット化方向に進展中。

5年先5年物予想インフレ率(5y-5y Forward Inflation Expectation Rate)は期待インフレ率の低下傾向に倣って下向きに転換。原油価格の押し上げ効果以外にインフレ期待がなかなか盛り上がらない構図が変わらないなか、政治要因、金融政策に振られる展開に。これに対して「ビハインド・ザ・カーブ」を嫌うFEDの金融政策と実体経済の綱引きの構図も変わらず。10年、30年債ともに数年来の高値水準から一服するなか、引き続き「低金利+リスク資産買い」の「ミニ・ゴルディロックス」で堅調に推移できるのか、「金利低下(上昇)+リスク資産売り(買い)」の「伝統的反応」で推移していくのか引き続き注目しておきたいところ。

・コモディティー他
オイル(原油)は、ドル高、「貿易戦争」による将来の需要減に対する懸念、ドル高による影響から一段安後も揉みあいを下抜けしつつつある展開。引き続き原油低下による金利の押し下げ効果と、中央銀行による金融政策の変更、政治要因による金利上昇バイアスとの綱引きがどのように推移していくのか、またこれが非伝統的金融政策下の象徴でもあった「ゴルディロックス」を引き起こしリスク資産の嵩上げ要因となるのか、素直に将来の「懸念」として警戒感が高まってくるのか注目していきたいところ。また、銅、金の低下傾向も変わらず。

他方、リスク資産に若干先行して高値を更新していた「炭鉱のカナリア」ハイイールド債は下落から切り返しの展開に。引き続きリスク資産、債券、為替、コモディティー市場の動向とあわせて、「突然死」しないか今後の展開に注目しておきたいところ。

・その他
サプライズ・インデックスは、引き続き強弱の節目「0(ゼロ)」を明確に割り込み始めた模様。通商問題の悪化、ドル高、金利上昇による企業業績圧迫に懸念が残るなか、経済指標の悪化傾向がSPXの許容PER低下を引き起こさないか注視していきたいところ。引き続き各アセット間、あるは同アセット内での循環物色のなかで資金循環が維持されて上昇が期待される動きとなるのか、債券安+ドル安+リスク資産安のトリプル安のリスクオフに至るのか注目しておきたいところ。

S&P500は、6月高値を更新して2800ポイント台を維持。ここからは取り返した高値をサポートに変えて戻り継続基調で移行できるのか、1月高値2872ポイント接近でのダブルトップ形成、MACD陰転継続から戻り一巡が警戒されるのかに注目。また一足先に史上最高値を更新中のNASDAQは、FANGへの集中投資で「行き過ぎ」の状態にならないか注視しておきたいところ。
市場センチメントは、引き続き関税措置悪化、新興国通貨安に対する懸念を背景に強弱感の交錯する展開に。目先的にはリスク資産がいったんの頭打ちに至るのか否かに注目。

総じて「夏枯れ」の時間帯を背景に、薄商い+低値幅+低ボラの「ゴルディロックス」継続で推移していくのか、引き続き政治要因、あるいは通商問題の悪化、ドル高、金利上昇による企業業績圧迫への懸念から新たな売り手が登場して「突然梯子を外される」展開に移行していくのか注目しておきたいところ。
●来週の主な予定
20日(月)
アトランタ連銀総裁、講演
21日(火)
トルコ市場休場(24日まで)
22日(水)
米中古住宅販売件数(7月)
FOMC議事録(7月31日、8月1日開催分)
米中通商協議開催予定★
23日(木)
米新築住宅販売件数(7月)
カンザスシティー連銀総裁、講演
年次シンポジウム(ジャクソンホール、25日まで)★
米国、中国製品160億ドル相当への関税25%発動★
中国、米製品160億ドル相当への関税25%発動★
24日(金)
日本消費者物価指数(7月)
米耐久財受注(7月)
パウエルFRB議長、講演★