●2018年12月第3週のまとめ
・週間指数動向
今週は、EUがイタリア予算案を承認、Brexit交渉は来年に持ち越し、米中通商問題が小康状態で推移。注目のFOMCで今年四度目の利上げを決定。その後の議長会見で11月の「柔軟な金融政策(Wait and see)」を覆すような「タカ」的な見通しを示したこと、メキシコ国境との「壁」建設に絡んで米暫定予算期限切れによる「シャットダウン」に対する警戒感が台頭するなか、主要市場は全面安の連会に。週間ベースでは全市場がマイナス圏で推移。東京は円建て、ドル建て日経、TPXは三週続落で円建ては5%超の急落。米国は三指数ともに三週続落。いずれも6%を超える急落で2008年サブプライム・ショック以来の大幅な下げで推移。欧州は、FTSE、DAXともに反落。中華圏指数は、香港は反落、上海は続落の展開に。今週の年初来高値、史上最高値更新市場はなし。年間ベースでは全市場がマイナス圏に転落。
米三指数は、S&P500(週足)は50週線水準を挟んだ揉みあいを経て今週急落。200週線に接近する展開に。ここからは、200週線2350P処を維持して言ったんの下げ渋りが期待される展開となるのか、「政治的混乱」を嫌気して2016年大統領選時の2100P処を目指して下げ加速が警戒される展開となるのかに注目。
NASDAQ(週足)は引き続きFAANNG系が重くSPX同様に一段安の展開に。ここからは、改めて200週線6000P前後を死守して見直し買いを巻き込んでくるのか、一段安から調整継続で推移するのか注視していきたいところ。
DJIA(週足)も他二指数と同様に水準を一段切り下げる展開に。他指数と同様に下値死守から以前の持合いレンジ下限23500P処を取り返して下げ一巡が期待される動きとなるのか、22000P割れから一段安が警戒される展開となるのか注目。DJIA-Nikkeiスプレッドは4000Pから2000Pのレンジ内で持合い継続中。ここから米>日、あるいは米<日どちらで縮小を継続していくのか、または再び拡大方向に動いてくのかに注目。
来週は、暫定予算期限切れで2013/10月オバマ政権以来となる「シャットダウン」が実施されて政治的混乱が警戒されるなか、クリスマス休暇の薄商いに乗じてボラティリティー拡大による波乱継続が警戒されるのか、ここを無難に通過して下げ一巡となるのか注目したいところ。
・週間為替動向
今週の主要通貨は、日米中銀会合を通過して全般まちまちで推移。週を通すとJPY高>>EUR>USD>CNH>>AUD安。東京指数にとってはリスク通貨安、ストレート、クロスともに円高の「円高」が重荷の展開に。ここからは新興国通貨安の再燃とCNHへの波及、米国の政治的混乱、直近小康状態の通商問題の再燃が警戒されるなか、引き続き新興国通貨安、リスク通貨安(≒USD高)によるリスク資産軟化加速に警戒しておきたいところ。
・週間債券動向
今週の債券市場は、中銀イベント通過とリスク資産安で債券買いの展開に。米10年債利回りは2.8~3.0%の本年の持合いレンジ下限域に到達。2016年米大統領選以降の一段下のレンジ上限向かいに接近する展開に。中期ゾーンの金利逆転(インバート)、30-5y、10-2yスプレッド縮小はいったん小康状態に。ここからは、17年レンジ上限、18年レンジ下限向かいの2.7%処から反発して再び3.0%方向を目指す動きとなるのか、リスクオフの債券買い継続から2017年レンジに逆戻りするのか注目しておきたいところ。
債券ボラティリティー(TYVIX)は中間選挙、11月FOMC通過後の小康状態から再び高値に接近中。引き続き「債券ボラティリティー上昇発」の波乱(利回り低下方向)には警戒しておきたいところ。
欧州国債は、イタリア予算案がひと段落、Brexit交渉が来年に先送りされるなか、世界的な債券買いの流れに同調する展開に。こからは、来年のhard Brexit懸念再燃による「欧州発」のリスクオフの可能性に警戒しておきたいところ。
期待インフレ率(BEI:10-Year Breakeven Inflation Rate)は原油価格下落、米の利上げスピード減速思惑から引き続き低下傾向で年初来の低位に。5年先5年物予想インフレ率(5y-5y Forward Inflation Expectation Rate)も期待インフレ率と同様の展開に。
原油価格の押し上げ効果以外にインフレ期待が盛り上がらない構図は変わらないなか、ここまでは原油価格上昇によるコストプッシュ型インフレ懸念と「ビハインド・ザ・カーブ」を嫌うFEDの金融政策との綱引きには警戒が必要であったものの、原油低下、FEDの「柔軟な政策運営」思惑でこのあたりの懸念に変化が出てくるのか否かに注目していきたいところ。
12/21現在のFEDによる3月FF金利目標2.50-2.75(現行2.25-2.50%)への利上げ織り込みは15.2%。直近の調整による逆資産効果、原油価格低下によるインフレ圧力の軽減から「柔軟な金融政策」のもと利上げが見送られるのか注目しておきたいところ。
ここからは、引き続き「金利上昇(低下)+リスク資産買い(売り)」の「伝統的反応」で推移するのか、あるいはFEDの方向転換により「ゴルディロックス」的な動きが復活してくるのか注目しておきたいところ。
・コモディティー他
オイル(原油)は、「貿易戦争」による将来の需要減、供給過多の懸念、投機資金の投げ売りから引き続き安値探りで17年中盤の安値40ドル台前半が視野に入る展開に。原油価格低下による金利の押し下げ効果と、中央銀行による金融政策、政治要因による金利上昇バイアスとの綱引きには引き続き留意しておきたいところ。
「炭鉱のカナリア」ハイイールド債は、原油価格、リスク資産動向と歩調を合わせるように一段安の展開に。引き続き「原油価格低下+新興国通貨安(ドル高)→新興国、低信用債利回り上昇→クレジット・リスク」の連想ゲームを念頭に、リスク資産、債券、為替、コモディティー市場の動向とあわせて、「突然死」しないか今後の展開に注目しておきたいところ。
・その他
サプライズ・インデックスは、強弱の節目「0(ゼロ)」付近での一進一退から若干マイナス方向に振れる展開に。通商問題悪化、ドル高、クレジットリスクによる企業業績圧迫に懸念が残るなか、経済指標の悪化傾向がリスク資産の許容PER低下を引き起こさないか、また直近のミクロ(企業業績)の悪化がマクロに波及して同指標に異変をもたらさないか注視していきたいところ。
市場センチメントは、通商問題悪化、新興国通貨安に対する懸念、リスク資産急落とボラティリティー高止まりで引き続き悪化状態。CPCは数年来の高値を示現、SKEWは低位から立ち上がりの気配を見せるものの、この意味は不明。
ここからは政治的な混乱、米中通商交渉、年末年始の薄商いのなかの仕掛け的な波乱に警戒しておきたいところ。
●来週の主な予定
24日(月)
米11月シカゴ連銀活動指数
休場:日本、ドイツ
短縮取引:米、英、香港
25日(火)
休場:ドイツ、米、英、香港
26日(水)
10/30・31開催の日銀金融政策決定会合議事要旨
米10月ケース・シラー住宅価格指数(23:00)
休場:英、香港
27日(木)
米11月新築住宅販売件数(12/28 0:00)
米12月消費者信頼感指数(12/28 0:00)
28日(金)
大納会(日本)